明日、心が晴れますように

明日、心が晴れますように

心理や恋愛に関する事を書いていきます、お役に立てたら嬉しいです。

出逢い:4

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「えーーー??それ絶対付き合ってるって。」
由美が教室の中なのに大声で叫ぶ

 

「ちょっと!声でかいよ。」
慌てた私が由美のテンションを制する。

 

「だけどさぁ、いつも一緒にいるんでしょ?その店長と君嶋さん。」
冷静な正子が訝しげに質問する。

 

「うん…。なんか、しょっちゅう一緒に帰るし。なんか、名前で呼んでるし…。」

 

「ドンマイ、次いこ。次!ほら今日イベントあるから渋谷行くよ!」
「バイト仲間に聞けないの?」

 

「一度“父”に聞いてみたんだけど…、父は君嶋さんと同じ歳で仲も良いから。だけど、良くわからない、ってちょっと濁されたんだよね。」

 

「なにそれ、濁されたって事は何かあるってこと?」
由美が食いつく。

 

「濁されたって事は、何かあるけど付き合ってるわけじゃない、とか?」
正子はいつも冷静。

 

「もーーーーーーー、分からないよーーーー。バイトは楽しいけど、毎回モヤモヤが…。」
私は机に突っ伏した。

 

「で、今日もバイトなわけだ?」
正子が知っていたかの様に言う。さすがは親友。
「え?麻衣今日もバイトなの~~?イベント行けると思ったのに。」
「由美、私が一緒に行くから。」

その後、2人は今日のイベントがどうとか、DJがカッコイイとか、色々話してたけど私の頭の中には全く入ってこなかった。

 

 

 

それでもバイトに行くのが楽しかったのは、相変わらずみんなと仲良く過ごせていたという事と、それでもそれでも、君嶋さんに会えるのが嬉しかったからだった。

 

バイトはシフト制だから会えない時もあるけれど、毎回厨房前のあの場所を横切る度に君嶋さんの髪の毛と、そこから透けて見えた横顔を思い出してドキドキしていた。

 

私と米倉さん、大森さんと林さんの4人はシフトが入っていない時でも時間があると閉店時間に合わせてお店に来ては、ただ喋ったり遊びに行ったり、夜食を食べに出かけたりしていた。
だけど、全然異性という気がしなくて、①私は初めて男女の友情って存在するのかもしれない、と思った。

 

「お疲れ様です。」

 

控室のドアを開けて、シフトに入っていないはずの君嶋さんが突然現れた。

 

「ど、どうしたんですか?」
(やばい、②ちょっとどもっちゃったかも…。

 

「うん。木田さん、いる?」

 

(うっ、木田さんに用か……。)

今の私には少々ヘヴィーだ。

 

「さっき、オーナーの部屋に行きましたよ。」
大森さんが答える。

 

「あ、マジ?」

 

そう言っている間に、木田さんがオーナーを連れて控室に入ってきた。

 

「あ、成来た来た!ほらオーナー、成も来たから行きましょうよ。」
なにやら木田さんがオーナーにお願いしている。

 

「そこの4人も丁度良いタイミングでいたね。今からオーナーにラーメン奢ってもらおうと思ってるんだけど、行く~~??」
木田さんがイタズラな顔で笑いながら私達を誘う。

 

「まだ、行くって言ってないぞ。」
オーナーは私達の親世代のおじさんで、ダンディでお洒落な人だ。
10年前に脱サラして突然レストランを開業したらしい。
凄く頭の回転が早いし、敏腕。そしてみんなに優しいので全員から好かれている。

 

「オーナーがラーメンって珍しいですね。」
林さんが口を開く。
確かに、restaurant clan は洋食屋なのでオーナーは普段からclanの運営にとってヒントになる様な店に積極的に通っているため、ラーメンは珍しい。

 

「この人、実はラーメン大好きなんだよ。」
最古株の木田さんは流石だ。
オーナーの隠れた好物まで把握している。

 

「じゃーー、行くか。お前ら全員行くか?」
オーナーがやれやれという口調で私達に質問する。

 

もちろん全員「行きますー!!」と声が揃う。

 

「で、俺は何のために呼ばれたわけ?」
君嶋さんが木田さんに質問している。

 

「え?成もラーメン好きでしょ?それと、車が大きい♡」
と言って木田さんが笑う。

 

「そういう事か…」と君嶋さん。

 

突然の出来事であまり頭と心がついていけていないけど、どうやら今から君嶋さんとラーメンに行けるみたい…。
(みんなもいるけど。)

 


解説

 

①私は初めて男女の友情って存在するのかもしれない、と思った。
└永遠のテーマであり、答えが出る事がなさそうなこの問題。
アメリカの社会心理学者、ルービンは友情と恋愛感情の違いを下記の様に定義しました。

 

友情
・相手のことを高く評価する。
・相手を信頼している。
・相手を尊敬している。
・自分と似たところがあると思う。

恋愛感情
・相手と心理学的にも身体的にもつながっていたい。
・相手と離れているとつらい。
・相手のために何かしてあげたい。犠牲を払ってもかまわない。
・相手を独占したい。2人きりになりたい。

 

そして、その後の調査の結果や、生物学的な根拠などに基づくと、男性の方が女性に対して友情から恋愛感情を抱きやすいという事が分かっています。

 

②ちょっとどもっちゃったかも…。
└普段は普通に誰とでも会話が出来るのに、好きな人を目の前にするとうまく会話出来なくなってしまう方はいらっしゃいます。
恐らく、全員にそうなってしまうわけではなく、うまく話せない場合と自然に話せる場合とがあると思います。

 

これは、相手を“異性だ”と意識してしまう、自意識が強く働いているからで、“自分は女、相手は男!”“俺は男、彼女は女!”と知らない間に強く考えてしまう、=恋愛対象として意識してしまい緊張するから起こる事なのです。

実際にうまく話せない相手を必ずしも好きだとは限りませんが、強く異性を意識しているという事は関係しています。