明日、心が晴れますように

明日、心が晴れますように

心理や恋愛に関する事を書いていきます、お役に立てたら嬉しいです。

告白:5

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『花をあげていたその人』の話しはそれ以降全く出てくる事はなく、成ちゃんと会っていても『その人』と連絡を取っている様には思えない日々が続いていた。

いよいよ木田さんは私に対して他のみんなからも分かる程あからさまにそっけない態度を取るようになり、私としてはどうしようも出来なくて困っていた。
だけど米倉さんや大森さん林さんと、いつもの仲良し4人は相変わらずだし、オーナーは優しいし、何よりも成ちゃんに会えるので木田さんの無言の意地悪に屈してclanを辞める、なんてことは微塵も考えなかった。

そんなある日、clan閉店後、私が店内の片づけを簡単にしている時、突然成ちゃんが私に近づいてきた。
仕事をしている時に成ちゃんが近づいてきてもなんらおかしい事ではないんだけど、その時はみんな控室に帰ってしまっていて私1人しかいなかった事と、店内の明かりが半分以下になっていて薄暗かったところに成ちゃんが近づいてきたので、なんかいつもと違って緊張した。

「もう終わる?」
成ちゃんが私の手元を見ながら聞く。

「うん、もうそろそろ終わるよ。」
私も手を動かしながら答える。

「そっか。」

ん?

 

「え?それだけ?何しに来たのよ。あなた。」
ついツッコミを入れる。

①「あ、いや。渡瀬は洋楽聴くかなって思って。」
成ちゃんが質問を投げる。

「洋楽?の話しって何度かしてるよね。好きだよ洋楽。どうしたの今更。」
なんだろう改まって。

「来月海外のアーティストが何組も来るライブが俺の先輩の会社主催であってさ。チケット貰えたんだけど、行く?」

「行く!!!!!!」

誰が来るかまだ聞いてないけど即答。

「良かった。じゃー細かい事はまた教えるから。」
そう言って成ちゃんは振り返って控室にスタスタ向かって行ってしまった。

って、え、何今の、もしかして、デート?

もしかして、私今デートに誘われた???

いや待て、違うかもしれない。
先輩の会社主催って事は成ちゃんの知っている人もいるって事だから、私と2人っきりとは限らない。落ち着こう。落ち着こう。

でも

でも!!

(成ちゃんに仕事終わりのラーメンとドライブ以外の事に誘われた!)

私はもう、理性的に考えるのなんて無理になっていて、片付けをしていた手元がめちゃくちゃ早まって、ちょっと雑になった。

控室に戻ると、成ちゃんは林さんと趣味の話しをしていて、ちっとも私との話しが尾をひいている感じではなかった。
それを少し寂しいと思ったけど、そんな事はすぐにどうでもよくなるぐらい、テンションが上がりっぱなしになっていた。


解説

 

①「あ、いや。渡瀬は洋楽聴くかなって思って。」成ちゃんが質問を投げる。
└誰かを誘う時、お願いごとをする時、最初から一番叶えたいお願いをするよりも、別の質問をして相手に「はい。」「そうだよ。」「YES」と回答してもらっておくと、OKがもらえる率が高まります。

これを「YESの法則」と言います。

「スイーツ好き?」→YES
「じゃー、パンケーキとかも興味あるんじゃない?」→YES
「都内のパンケーキ屋さんってかわいいお店多いよね?」→YES
「一回ぐらい行ってみたいよね。」→YES
「じゃー来週、一緒に行く?」→YES

上記の様な流れで使います。
相手が出来るだけ「はい」と答える質問をして、その最後に実際にOKをもらいたい質問をする。というものです。

実際に効果を発揮するには3~5回ぐらい「YES」をもらった後に誘ったりお願いをしたりする方が得策です。

今回君嶋がYESの法則を知っていて麻衣に洋楽を聴くかどうかを質問したのかは分かりませんし、質問も1回だけですが、YESの法則を使って誘っている様にも見えますね。