告白：9
「こくは…………！」
途中まで言いかけて米倉さんが口を自分で閉じる。
ちょうど近くに座って仕事をしていた木田さんはこっちを睨む。
（もはやすがすがしい）
「うそでしょー？君嶋さんに、告白したの？？？」
米倉さんがものすごーーーく小さい声で私に聞いてくる。
成ちゃんに告白した翌日、clanの休憩中の控室で私はついに米倉さんに成ちゃんへの恋心と告白した事を伝えた。
……というのも、もう①告白してからソワソワするし、心配になるし、メール来ないか確認しちゃうし、何をしていても気になってしまって。
そんな時に今日もclanのバイトが入ってるから、店には来なくちゃいけないしで、言わずにはいられなかった。
今日、成ちゃんもバイトに入っているので私はかなり緊張しながら店に入ってきたんだけど、すれ違った成ちゃんは「よう、おはよう！」といつも通り。
え？
いつも通り？
凄く拍子抜けしたけど、変な空気になってなくて良かった。
ひとまず、普通にやり取りする事は出来そう。
「でーもなーそんな事じゃないかなーー？っていうのは思ってたんだよね。」
と米倉さん。
「え？何が？」
「なんか、君嶋さんと麻衣ちゃんって仲良い、っていうか仲良すぎ？って思ってて。たまーに、林さんとか大森さんともその話ししてたもん。」
…そうなんだ。
話題になってしまうとは…。
で、でも、そう思われる程に私と成ちゃんは仲が良いって事、だよね？
なら、やっぱり少しは期待して良いのかな？
っていうか、期待した場合、これってこの後どうなるんだ？？
「まずはーーー、次回2人になる時をお楽しみに、だね♡」
相変わらず聞き耳を立てていそうな木田さんに聞こえない様に、米倉さんは小さい声で助言する。
「あーーーー、2人になる機会、あるかなぁ～～？？？」
実はこのやり取りに似たセリフを、昨日の夜中に正子とも電話でやっている。デジャヴだ。
clan閉店後、今日休みの大森さんが控室に入ってきた。
「今日大学で遅くまでレポートやっててさ、ちょっと疲れたから帰って飯とか作りたくなくて。前行った美味しいチャーハン行かね？」
と、ナイスな誘いだった。
いつものclanの様に、「あ、俺も行くー」「私も～」と順番に賛成し、結局残っていた全員で行く事になった。
（成ちゃんも行く…！帰り、いつもみたいに2人になるかなぁ？）
ちょっと期待して、clanを出た。
①告白してからソワソワするし、心配になるし、メール来ないか確認しちゃうし、何をしていても気になってしまって。
└何も手につかず、ソワソワした状態は、ストレス状態にある事を指します。
心配事がある場合、解決していないトラブルがある場合、自分が次に何をすべきか分からない場合、など理由は様々です。
告白をしたのに相手から何のアクションも無い状態というのは
・相手に自分の気持ちは伝わっている
・相手の気持ちはわからない
・相手が告白の件について次にどんな言動を取るのか予測できない
・相手から悪い返事が来た時にどうすれば良いか分からない
上記の様な事が重なる事によってストレス状態になりやすいです。
不安という事ですね。
出来るだけ早く解決したいからと言って、相手に返事を急かすなどするのはベターな言動ではなく、相手を焦らせたり悩ませたりしてしまう事もあるので、一定の期間は何もせずに我慢しましょう。
そして、充分な期間を置いた上でコミュニケーションも取っているのに返事がもらえない場合は、きちんと返事を聞くというのが良いでしょう。
