告白:10
「それが、つまりガンダムを語る上で一番大事なわけよ。」
成ちゃんが熱弁している。
「うん。あーーー、そういう事ね。うんうん。」
眉間にシワを寄せながら窓の外を眺めつつ、熱弁している成ちゃんに相槌を打っている私。
目の前、窓の外には道路をトラックが疾走しているのが見えて、相変わらず深夜の高速道路を眺めながらのドライブは綺麗だ。
ほんと、ちょっと、私もトラックでどこか遠くに連れて行って欲しい…。
あの日、みんなでチャーハンを食べに行った帰り、成ちゃんは普通に、いつもの様に、何の変りもなく、私を最後に送ってそのままドライブに出かけた。
そして、私はその行動にものすごーーーーーく、期待した。
だって、告白した後に深夜のドライブデートなんだから、告白の返事を聞かせてもらえると思ったから。
だけど、気が付いたら私は自分の家の前で成ちゃんの車を降りて成ちゃんに手を振っていた。
あれ?
どういう…?
そして、その後もまさに通常運転。いつものドライブデートが何回か繰り返され、今に至っている。
「①それさ、もしかしてもう付き合ってる、って君嶋さん思ってるんじゃない?」
と、少しトリッキーな意見を米倉さんがしてくれたけど、流石に付き合っている、と思っている様には見えない…。
そして今、成ちゃんはいつもの様に横でガンダムについて語っているのだ。
≪もしかして、記憶喪失ですかーーーーーーっ??????≫
と、大声で運転席に向かって叫びたい。
叫んで良い?
もう叫ぶ寸前なんだけど。
流石に今日は、このまま車を降りるのはちょっと、と思ってる。
毎日家でずーーっとこの事ばっかり考えている私の方がおかしいの?
私の家に近づくと、少しずつ私は緊張し始めて、手が冷たくなって変な汗が出てきていた。
もしかすると、告白した時よりも緊張しているかもしれない…。
そして、いつもの様に成ちゃんの車が家の隣の公園前に停まる。
「成ちゃん、あのさ…。」
「うん?」
「いや、私が前に伝えた事なんだけど……。」
そう言うと、②車の中に数秒沈黙が訪れた。
「ああ。」
成ちゃんが、ちょっとわざとらしく、思い出した!という雰囲気で“ああ”と言った。
そして、特にその後間が空くこともなくこう言った。
「俺、付き合う気とか無いから。」
①それさ、もしかしてもう付き合ってる、って君嶋さん思ってるんじゃない?
└男性の中には、明確な意思表示をしていなくても、付き合っていると思っている、という人がいます。
・好きだという気持ちがわかっているからそれでいい
・気持ちは通じてると思っている
・恥ずかしい
などが、考えられる理由です。
しかし、何も分からない状態だとヤキモキしてしまいますよね。
そんな時は、やはり本人にストレートに質問する事をお勧めします。試す行動や誘導尋問、などはその後の関係性の事を考えると避けた方が良いでしょう。
②車の中に数秒沈黙が訪れた。
└思ってもいなかった事を突然言われた時に、相手がどういう心理でいるかが分かり易いポイントがあります。それは、
言葉を発する前に何をしたか
です。
間が空いた、手で顔を触った、視線が動いた、など色々ありますが、基本的に即答ではない場合は必ず何かあります。
「嘘をつく(優しい嘘、も含め)」「言葉を選ぶ」「隠したい事がある」「誤魔化そうとしている」などなど。
何を言ったかよりも、その発言の前に一瞬でも間があったか、もしくは他のしぐさが見えたかをチェックした方が相手の心理が見分けられるでしょう。