明日、心が晴れますように

明日、心が晴れますように

心理や恋愛に関する事を書いていきます、お役に立てたら嬉しいです。

痛み:7

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着信拒否をされてしまった私は、目の前が真っ暗になり、気が付くと家とは違う方向に歩いていた。

ドライブに行く時、たまに成ちゃんは私に貸すものや返すものを取りに自分の家に寄っていた。
なので、私は成ちゃんの家を知っていたから、目の前が真っ暗なまま、真っ白な頭で何も考えられないまま成ちゃんの家に向かっていた。

そして、家の前に来て、下から成ちゃんの部屋を眺めても、当然電気はついていないし、駐車場に成ちゃんの車はなかった。

駐車場に車が無いのは当たり前だけど、もしかしたらあるかもしれない、もしかしたら行かないでいてくれるかもしれない、そう思ってしまっていたから、ショックだった。

なんて勝手な話しだ。
成ちゃんは私を恋人には出来ないとはっきり言っている。
その上で、私と今まで通り仲良くしてくれていた。
それなのに私は勝手に怒って、勝手に成ちゃんを困らせて…。

そう考えていたら、その時になってやっと涙が出てきた。

涙を流しながら成ちゃんの家の前で、私は何をしているんだろう。

①成ちゃんが何時に帰ってくるか分からないけど、帰ってきたら直接謝ろう。

そう思って、0:00近い深夜に私は1人で成ちゃんが帰ってくるのを待ち続けた。

ここは住宅街なので近くに店も無い。
人通りも殆ど無いから、私が同じ場所にずっと立っているのを目撃した人は殆どいないと思う。
それでも流石にずっと同じ場所にいるのは、誰かが気が付いたら不審過ぎるかな、と思って時々場所を変える様にした。

3時間ぐらい経った時、1人のおじさんが歩いて近づいてきた。
深夜3:00に人気の無い住宅街で目の前からおじさんが歩いてくるのはこんな状態の私にとってもかなり怖い事だった。
頼むから、すぐ通り過ぎてください!と思いつつドキドキしていると、おじさんは私の目の前で止まって

「ずっとここにいるけど、大丈夫なのか?」

と聞いてくれた。
心配してくれてはいるけど、何があるか分からないし、私は大いに警戒しながら

「大丈夫です、ちょっと人を待ってるんです。」

と答えた。

「待ってるつったって、この時間に1人で女の子が、危ないよ。」
そう言って、そのおじさんは5分程私の心配をし続けてくれた。

「本当に大丈夫なんで、ありがとうございます。」
そう私が言うと、おじさんは少し黙った後、帰って行った。

(見知らぬ人にまで心配をかけてしまった…。)

そう思っていると、おじさんはもう一度私のところに歩いてきて

「はい、これ使いなさい。必要かもしれないから。」

と言って、虫刺され薬を私に渡してくれた。
ずっと外にいるから虫に刺される事もあるだろう、と思ってくれたみたいだった。
おじさんにお礼を言うと、おじさんは「本当に気を付けなよ。」と言って今度は本当に帰って行った。

(今のおじさんが良い人だったからいいものの、変な人だったら私は完全にアウトだな…。何してるんだろう、私。成ちゃん帰ってくるの何時だろう。そもそも帰ってくるのかな…。)

おじさんから優しさをもらってから2時間。
朝5:00頃、今度は雨が降ってきた。

傘なんて持ってなかったし、小雨だったので私はそのまま雨に濡れたまま立っていた。

(映画やドラマじゃあるまいし…。)

人を待っている時に雨が降るなんて、本当に起こるもんなんだなと思った。
ずっと立って待ってるから足も痛いし、眠いし、成ちゃんが帰ってくるか分からなくて心配だし、もう色々な意味で限界だな、と思っていた。

すると、

「何やってんの!!!!!」

物凄く驚いた声で、成ちゃんが私に走って近寄ってきた。

「ちょっと、何やってるんだよ~~~~~~~。」

凄く驚いて、凄く心配している声だった。

朝6:30頃だった。

「私、どうしても成ちゃんに謝りたくて…。」

必死に出した言葉は、これだけだった。

「わかった。もういいから!ちょっと待って、すぐ車で送るから。」

成ちゃんはそう言って私を駐車場に連れて行き、車に乗せてくれた。

その後、家まで送ってくれている間、成ちゃんは色々話しをしてくれていたけど、私は何も覚えて無かった。
だけど、成ちゃんが私を責めたり怒ったりしていなかった事だけは、分かった。

自分の部屋に戻ると、私は心と体の疲れで、すぐ眠ってしまった。

 


解説

 

①成ちゃんが何時に帰ってくるか分からないけど、帰ってきたら直接謝ろう。
└恋愛相手にしつこくしてしまい、相手が拒絶反応を示した時に、すぐに何とかしようと思って行動に出る事をお勧めしません。

すぐに電話をする、メールやLINEをする、会いに行くなんて最もダメです。

これは、相手に拒絶ほどの負の感情を起こさせてしまったら、その強い感情をまずは鎮めないといけないからです。
そして、大抵の場合鎮める事が出来るのは誰かの説得や説明ではなく、“時間”です。

今回たまたま君嶋は許してくれましたが、大抵の場合は失敗どころか余計関係性が悪化しますので、注意しましょう。

…では何故君嶋は麻衣を許したのか?
それは、君嶋が本質的には恋愛対象ではないだけで麻衣の事を人として好きだという事と、麻衣の行動が意表を突いていたため驚きが上回った事と、麻衣が謝りたいと思っている気持ちが伝わった事が重なった理由だと推測します。