出逢い:10
「え?」
君嶋さんが、ちょっとフリーズする。
「木田さん、彼氏いるのかな?」
…え?
君嶋さん、今“木田さん、彼氏いるのかな?”って言った?
「いや、あの人彼氏いないと思うよ。」
確信を持った感じで君嶋さんが言う。
「あ、あ?あれ?あれーーー?なんか、私、君嶋さんと木田さんって付き合ってるのかなーーーー?なんて思って…。」
少ししどろもどろになりながら、つい変なことまで言ってしまう私。
「オレぇ!?」
君嶋さんのめちゃくちゃ驚いた大きな声が、車内に響いた。
「ないないないないないない!」
いや、そんなに“ない”を連発されても…。
じゃー、なんでいつも一緒にいて、木田さんは当たり前の様に助手席に乗るんだろう?
林さんに質問した時も微妙な回答だったし。
「凄く仲が良さそうで常に一緒にいるからてっきりそうかと…。」
恐る恐る聞いてみる。
「あれよあれ、木田さんの弟が俺の親友なの!」
!!!
かなり予想外の返事…。
木田さん、弟さんいるんだ…。
「そうなんですか。なんか、勘違いしてすみません…。」
一応謝ってみたものの、良く考えたらこれって私にとってめちゃくちゃ嬉しい情報なんじゃ…?
そう思うと、ダメだ、ちょっとずつにやけてしまう。
と、同時に
(じゃー、①木田さんのあの数々の気になる態度はなんだろう…。)
と考えた。
「じゃ、木田さんは君嶋さんの事を好きなんですかね?」
どさくさに紛れて聞いてみる。
「知らね。」
あれ、なんか、予想以上にドライな…突き放した言い方…。
悪い事聞いちゃったかな…。
「もうさ、そんな話し良いからお勧めの曲とか教えてよ。高校生ならではの!!」
「えーーー、さっき教えたじゃないですか。もう忘れたんですか?(笑)っていうかそろそろ高校生でも無いし。」
君嶋さん、あんまり木田さんの話し続けるのは嬉しくないんだろうか?
なんか、上手に違う話しにすり替えられた気がするけど…。
まー、いいか。
そしてその日を境に、みんなでご飯に行くときは必ず、その後君嶋さんと2人でドライブに行くのがお決まりになった。
①木田さんのあの数々の気になる態度はなんだろう…
└誰かの態度が少しおかしいな?と思った時で、あからさまな態度の変化ではない場合はモヤモヤして気になってしまいますよね。
しかし、1回程度の疑問で何かを確信したり、そもそも相手の態度がおかしいという事を断定する事は賢明ではありません。
もし、3回以上違和感を感じる態度が自分に向けられていた場合は、自分が相手に何かした可能性があるのか、良く考えてみましょう。
もし全く身に覚えがない場合は、気にすると精神衛生上良くないので、正確な事が発覚するまでは焦らず騒がず、気にせずにいましょう。