痛み：9
成ちゃんが何故かキャバクラに行かなくなってから暫くして、成ちゃんがclanではない方のバイトを辞めた事を知った。
どうやらそのバイトを辞めた事もキャバクラに行かなくなった理由だと思う。
だけど成ちゃんは、林さん達に「なんでキャバクラ行かなくなったの？」と聞かれると
「まーねー。行くと嫌がるやつがいるからね。」
と答えていた。
これは、私の事だろうか？
こんな事を言われたら、結局期待してしまう。
相変わらず夜中のドライブには誘われるし、客観的に見ても仲が良い。
新しいマンガを見つけたら一緒にその感想を言い合い、時にはclanを今後どうしていくのが良いか、という熱い議論に花を咲かせた。
私は、やっぱりこんなに気が合って一緒にいて楽しい人は他にいないと思っていた。
正子や由美に誘われて遊びに行くと、十中八九ナンパされるし、由美の友達を紹介してもらったりで、出会いは山ほどあった。
「もういい加減、成ちゃんやめたら？」と正子に言われて他の人と付き合おうとしたこともあったけど、全く興味が持てないまま、誰とも付き合う事にはならなかった。
たまにデートして話しをしては、「成ちゃんだったらどう答えるかな。」「ここのごはん成ちゃん好きそうだな。」「あー、ノリが成ちゃんと違うんだよね。」などと、本当に相手に失礼だけど、①ずっと成ちゃんと比べてしまっていた。
そんな風に何ヶ月も過ごしていた。
成ちゃんは私を特別扱いする。
キャバクラに行かなくなったのは私が嫌がるからで、他の人とはドライブに行かなくとも私の事は強引に誘うし、私達が2人とも好きそうなイベントがあれば誘ってくれて一緒に行くし、食べ物の好みも把握し合っている。
もしかしてこれは、
成ちゃんが恋愛感情に気が付いてないだけなのでは…？
何をどう解釈したか分からないけど、私はこう考える様になってしまった。
こんなに一緒にいて、こんなに楽しく過ごしているのに、成ちゃんが私を好きじゃないなんて、おかしいよ。
①ずっと成ちゃんと比べてしまっていた。
└失恋を乗り越えるために、他の恋愛をして忘れようとするのは、良くある話しです。
ですが、多くの人はそもそも、別の恋愛に前向きになれません。
そして、麻衣の様に他の人に出会っても、必ず今好きな人と比較してしまうのです。
これは愛着が不安定型の人（特に不安型愛着スタイル）に多い傾向ですが、好きになってしまうと一途に一直線なため、他の人の事を考えられなくなる上に、相手に振られていたとしても、罪悪感を感じてしまうのです。
そうなっても、偶然や努力などが重なって新しい恋愛相手に出会うか、時間が経った時に不安型愛着スタイルの人が取る行動によって、長い目で見た時には結果的に解決します。
これについては、近日中に本連載ではない記事で詳しく書く予定です。
