不協和音:5
成ちゃんに連れて行ってもらったその小料理屋は、住宅街の中にある小さいけど雰囲気のある店で、外向きについている窓から明かりが漏れていて、中から笑い声が聞こえる、家族団らんの様な空気をまとった店だった。
中に入ると、座敷とカウンターに別れていて、常連さんと思わしきおじさんとお兄さんが楽しそうに笑っている。
「こんばんは~…。」
恐る恐る中に入ると、ママらしき人が近づいてきた
「いらっしゃーーーい!」
とても明るく元気で、すごい美人。
年齢は…若く見えるけど、自分の両親より上な気がする。
「成ちゃんがこんなかわいい子連れてきてくれるなんて、嬉しい~!」
「成ちゃんには辞めてもらって、働いてもらっても良いんだよ?」
ママがめっちゃ笑顔で私に微笑む。
「ちょっとママ!まだ働き始めてそんなに経ってないんだから、クビにするのはやめてくださいよ!」
成ちゃんが横から阻止する。
「何食べたい?」
成ちゃんをシカトして、ママは私のお世話をしてくれる。
「え…迷うなぁ…。この、マグロキムチ、美味しそう。」
「良いチョイスだね~~~。他にも気になるものあったら言ってね。」
ママが100点満点の笑顔を私に向ける。
「あ、飲み物は全部成ちゃんに言ってくれれば良いからね。」
それを聞いて成ちゃんが、はいはい、というゼスチャーをした。
私はカウンターに座って、目の前で料理をしたり皿を洗ったりするママと成ちゃんと喋っていた。
そこに、どんどん常連さんがやってきて、5つあるカウンターが全て埋まり、あっという間に私はこの店の常連さんと馴染んだ。
良く話しを聞くと、私と同じ中学の先輩だった井原さん
店の近所に住んでいる、ママの恋人と噂の瀬能さん
同じく近所に住んでいる元気の良いおばちゃん、原さん
井原さんの彼女の三木本さん
全員年上
①私は何故か昔から、年上にかわいがってもらえる。
理由は不明だけど、学校の先生とかにもやけに親切にしてもらえるのだ。
今こそその真価を発揮、とばかりに私は皆さんと一気に仲良くなった。
そして小料理屋の閉店は2:00!
なんと、閉店まで私は楽しんでしまったのだ。
「いや、だって俺いないとおまえどうやって帰るのよ?」
そう成ちゃんに言われ、そういえば、と思った。
お店の閉店作業や片付けが終わっても、結局店内は常連さんだらけでお客さんはいなくなっていない。
なんか、良い感じだなこういう店。
「じゃー、俺はこいつ送らないといけないんで、先に帰りますね。」
そう成ちゃんが言うと、私も皆さんに次々に挨拶をし、ママに手を振って、店を出た。
「由利」
と、私が口にする。
「そう、店の名前な。ママの名前。」
成ちゃんが説明してくれる。
「おお~~~~、素敵。」
程よく酔っぱらっている私と、働いているし車だから一滴も飲んでいない成ちゃん。
「お前、酔うとそこそこめんどくさいんだよな。」
「酔ってなければ面倒じゃないってこと?」
「…そうか、いつも面倒か。」
「ひっどい!!」
笑いながら車に乗り込む。
車の中で成ちゃんは、由利についてと、お店の常連さんについて知っている事をたくさん教えてくれた。
そしてそのまま、私を家に送らずにドライブコースに車を走らせた。
①私は何故か昔から、年上にかわいがってもらえる。
└男女問わず、年上から可愛がられやすい人の特徴は
・素直
・元気
・ある程度気を使わない
・常識はある
・笑顔
・おねだり上手
上記の様なものがあると思います。
今後年上に好かれたいと思う事があったら、参考にしてみてください。
少しワガママな方が、好かれたりするので不思議ですね。(これは好意の返報性が関係しています。)