不協和音:5
成ちゃんに連れて行ってもらったその小料理屋は、住宅街の中にある小さいけど雰囲気のある店で、外向きについている窓から明かりが漏れていて、中から笑い声が聞こえる、家族団らんの様な空気をまとった店だった。
中に入ると、座敷とカウンターに別れていて、常連さんと思わしきおじさんとお兄さんが楽しそうに笑っている。
「こんばんは~…。」
恐る恐る中に入ると、ママらしき人が近づいてきた
「いらっしゃーーーい!」
とても明るく元気で、すごい美人。
年齢は…若く見えるけど、自分の両親より上な気がする。
「成ちゃんがこんなかわいい子連れてきてくれるなんて、嬉しい~!」
「成ちゃんには辞めてもらって、働いてもらっても良いんだよ?」
ママがめっちゃ笑顔で私に微笑む。
「ちょっとママ!まだ働き始めてそんなに経ってないんだから、クビにするのはやめてくださいよ!」
成ちゃんが横から阻止する。
「何食べたい?」
成ちゃんをシカトして、ママは私のお世話をしてくれる。
「え…迷うなぁ…。この、マグロキムチ、美味しそう。」
「良いチョイスだね~~~。他にも気になるものあったら言ってね。」
ママが100点満点の笑顔を私に向ける。
「あ、飲み物は全部成ちゃんに言ってくれれば良いからね。」
それを聞いて成ちゃんが、はいはい、というゼスチャーをした。
私はカウンターに座って、目の前で料理をしたり皿を洗ったりするママと成ちゃんと喋っていた。
そこに、どんどん常連さんがやってきて、5つあるカウンターが全て埋まり、あっという間に私はこの店の常連さんと馴染んだ。
良く話しを聞くと、私と同じ中学の先輩だった井原さん
店の近所に住んでいる、ママの恋人と噂の瀬能さん
同じく近所に住んでいる元気の良いおばちゃん、原さん
井原さんの彼女の三木本さん
全員年上
①私は何故か昔から、年上にかわいがってもらえる。
理由は不明だけど、学校の先生とかにもやけに親切にしてもらえるのだ。
今こそその真価を発揮、とばかりに私は皆さんと一気に仲良くなった。
そして小料理屋の閉店は2:00!
なんと、閉店まで私は楽しんでしまったのだ。
「いや、だって俺いないとおまえどうやって帰るのよ?」
そう成ちゃんに言われ、そういえば、と思った。
お店の閉店作業や片付けが終わっても、結局店内は常連さんだらけでお客さんはいなくなっていない。
なんか、良い感じだなこういう店。
「じゃー、俺はこいつ送らないといけないんで、先に帰りますね。」
そう成ちゃんが言うと、私も皆さんに次々に挨拶をし、ママに手を振って、店を出た。
「由利」
と、私が口にする。
「そう、店の名前な。ママの名前。」
成ちゃんが説明してくれる。
「おお~~~~、素敵。」
程よく酔っぱらっている私と、働いているし車だから一滴も飲んでいない成ちゃん。
「お前、酔うとそこそこめんどくさいんだよな。」
「酔ってなければ面倒じゃないってこと?」
「…そうか、いつも面倒か。」
「ひっどい!!」
笑いながら車に乗り込む。
車の中で成ちゃんは、由利についてと、お店の常連さんについて知っている事をたくさん教えてくれた。
そしてそのまま、私を家に送らずにドライブコースに車を走らせた。
①私は何故か昔から、年上にかわいがってもらえる。
└男女問わず、年上から可愛がられやすい人の特徴は
・素直
・元気
・ある程度気を使わない
・常識はある
・笑顔
・おねだり上手
上記の様なものがあると思います。
今後年上に好かれたいと思う事があったら、参考にしてみてください。
少しワガママな方が、好かれたりするので不思議ですね。(これは好意の返報性が関係しています。)
不協和音:4
「ひ、久しぶり!」
やば、ちょっとどもった。
「おう。」
前と何も変わらない。
いつもの成ちゃん。
車の助手席に乗ると、①覚えのある成ちゃんのたばこのニオイ。
さっきまで貴くんと一緒にいた事を、一瞬で忘れてしまう。
やっぱり私はこの人が好きだ。
「ラーメン、どこ行くの?」
「そうだねー。阿佐ヶ谷かな。」
「あ、あそこか。好きだよあの店。」
ちょっとほほ笑むと、成ちゃんは車を走らせた。
「元気にしてたの?若者ギャル。」
「若者ギャルって何よ。そもそもギャルじゃないって何回言えばいいのよ。」
「俺からすると年下は全員ギャルだね!」
「もう~~~~、ギャルでもなんでも良いよ~~~。」
「俺さ、また新しいバイト始めたんだよね。」
突然成ちゃんが新しいバイトの事を話し出す。
私は以前成ちゃんが掛け持ちでバイトをしていた時キャバクラ通いにつながった事を思い出し、かなりドキっとした。
ドキっとする権利なんてないのに。
「え?何のバイトしてんの?」
「知り合いの小料理屋さんで接客してる。」
「えーーーー!!!成ちゃんが?それは見たい!」
「おお。じゃ、今度俺がいる時おいでよ。」
「場所わかんないよ…。」
「そうか、じゃー最初は俺が連れて行ってやるよ。」
「やったー、ありがとう!」
あれ、なんだ?
3ヶ月会ってないって、こんなもん?
なんだか、昨日も会ってたかのように話しが弾む…。
「ちょっとスナックみたいな店で、ママがいるんだけど面白いママなんだよね。料理もおいしいし。カラオケも歌えるぞ。」
「やったーカラオケ!」
あ、カラオケ…。
貴くんにお金渡してくるの忘れた…。
次回会った時に渡さなくちゃ…。
ぴろん♪
ケータイが鳴る。
[今日はおつかれ。次回は2人で飲もうな。]
貴くんからだった。
モゾモゾしながらこそばゆい気持ちで貴くんに返信をする。
成ちゃんは黙ったまま何も言わない。
絶対に音は聞こえていたし、私がケータイをいじってるのはもちろん気が付いている。
珍しく音楽も何もかかっていない成ちゃんの車の中で、ケータイのボタンを押すカチカチという音が耳に障る。
「そういえば、いくら知り合いだからって、どうしてその小料理屋で働こうと思ったの?」
さりげなくバッグにケータイをしまいながら、質問する。
「これまで働いてた子が辞めちゃったらしいんだよ。結婚するとかで。だからママさんは女性を探してたみたいなんだけど、俺が知り合いとその店に行った時にバイト探してるって言ったらすんなりその場で決まった(笑)」
「何それ、そんな簡単で良いの?ママ!」
「会った事ないのに言うね~。」
こうして私達は大好きなラーメン屋さんで豚骨ラーメンを食べ、まるで何も無かったかのようにいつものドライブに行き、成ちゃんは少しの迷いもなく私の家に私を送り届けた。
自分の部屋に戻ってケータイを見ると、先に帰った事を怒ったゆみと、勘の鋭い正子から、メールが届いていた。
①覚えのある成ちゃんのたばこのニオイ。
└ヒトはニオイで記憶を呼び起こしやすいです。
それは、脳の嗅覚野が感情に関する扁桃体や記憶に関する海馬、といった脳の他の部位とつながっているからです。
これをプルースト効果と言います。
2020年現在流行っている、『香水』という曲の歌詞に出てくる描写も、この事を指してますよね。
不協和音:3
心臓がバクバクして、今にも口から飛び出しそうだった。
お酒を飲んで少し酔っていた事と、手に持ったグラスが冷たかった事と、カラオケボックスの大きな音で頭がグラグラして、自分が今ここにいるのが現実なのか夢なのかも分からなくなってきた。
カラオケボックスの外に出て、入り口の外で深呼吸する。
持ったケータイが、手の中で震えていて、ボタンを押す時に指が滑った。
着信履歴のボタンを押すと、「成ちゃん」という文字が背景に続けて2回光っていた。
好きな人に電話をかける時の呼び出し音は、なんだか合格不合格を発表する前のドラムロールの様に聞こえる。
出れば合格、出なければ不合格。
どうしてこんなに、長く感じるのだろう。
「あ、もしもし。」
3ヶ月聞いてないだけで、もう懐かしい成ちゃんの声。
「もしもし…。電話、した?」
「したした。今日、何してるの?」
「え?何してるの…?って、今みんなでカラオケ来てる。」
「若いねー。じゃ、今日は空いてないかー。」
「どうかしたの?」
「いや、久しぶりにラーメン行かねーかな、と思って。」
「何時に?」
「俺今母ちゃんのお願いで買い物来てるから、2時間後かな。」
「わかった。」
すんなりと約束をして、電話を切ってしまった。
何してるんだ?わたし。
あんなに成ちゃんと会うのを阻止してきたのに、①本人が誘って来たら速攻受け入れ態勢か!
ダメでしょこれ!
てか、何のために連絡してきたんだよ、成ちゃん。
意味分からんわ。
何のために私はclanを辞めたんだ???
まずい、正子にも由美にも言えない…。
多分今日のこのカラオケ、多分もう少しで終わると思うけど、みんなその後どうするんだろう…。
延長したり他の店に行くってなると恐らく終電は終わるから、オールになるし…。その場合、抜けるのは目立つなぁ…。
困ったな、と思いながらトボトボとカラオケボックスの中に入り、自分達の部屋を目指す。
すると、部屋の近くのトイレの前に貴くんがいて、私を見つけるなり
「いたじゃん!!」と言って近づいてきた。
「なに?誰?わたし??」と反応すると、
「そうでしょうに!」と笑いながらツッコミのポーズをした。
「部屋戻ってこないから、具合でも悪いのかと思った。」
貴くんが心配してくれている。
「ありがとう。そんなに好きじゃないレモンサワー飲んだからね。」
「あんた、人のもの勝手に飲んで好きじゃない、は無いわ!(笑)」
やっぱりこの人とのテンポ良いやり取りは楽しい。
「②で、俺と麻衣はこの後2人でどこに行く?」
私の目が、鳩が豆鉄砲を食ったようになった。
え?
貴くん、私とこの店抜ける気だ…。
まずい、どうしよう………。
「ど・・・どこか行く、っていう話ししてた・・・っけ?」
とりあえずすっとぼけてみる。
「(笑)俺、麻衣と2人で飲みたいわ。」
直球。
「え、めっちゃ嬉しいんだけどそれ。だけど今日は帰らねばならないのです~。」
ここは素直に言ってみる。
「え??帰んの???なんで?」
貴くんは私が帰るなんてやっぱり思ってもみなかったみたい。
「ごめん、今親から電話あってさ…。ちょっと帰らないと…。」
これは後でバレそうな嘘だ、と自覚しながらの嘘。
「まじで、大丈夫なの?送ろうか?」
ああ、貴くんマジでいい奴。騙してごめん…。
「大丈夫だよ!ありがとう。」
私はこっそり部屋に戻り、大人数で盛り上がっているどさくさに紛れて、荷物を持って部屋から出た。
貴くんは結局駅まで送ってくれて、私はそこから電車で最寄り駅まで帰る。
その道中、久しぶりに成ちゃんに会える期待に、ずっとドキドキしていた。
①本人が誘って来たら速攻受け入れ態勢か!
└前回、女性(脳)が恋を忘れるには物理的距離を、と言いましたが、やはり本人との直接のコンタクト程強いものはありません。
皆さんも、相手を忘れようと思った時や、もう感情的にならない様にしようと思った時程、相手に直接関わってしまうと思った通りにコントロール出来ない経験があると思います。
なので、やはり電話がかかってきても出ない、折り返しはしないで最低限のマナーとしてメールやLINEで電話の理由を尋ねる、などにした方が感情は抑えられると思います。
時間を少し置いてからアクションする事も、お勧めです。
②で、俺と麻衣はこの後2人でどこに行く?
└相手が油断している時に、突然2人っきりになる誘いをするというのは、なかなかのテクニックです。
しかも本文に描写はないですが、貴くんはこの時初めて麻衣を呼び捨てにしています。
突然の誘いを突然の呼び捨てでする、貴くんはなかなかのやり手だと思います。
男性の皆さんも、女性を誘いたい時で自信がある時(ここ重要)は、予想外のタイミングで複数の予想外を利用してみてください。
大抵は相手をドキっとさせる事が出来ますよ。
不協和音:2
clanの前を通らない様にして、なるべく成ちゃんの事を考えない様にして、そして私は貴くんとばっかり遊ぶ様になって、正子も由美も貴くんと私は今にも付き合うものだと思っていたと思う。
なるべく成ちゃんを思い出さない様に、と思っていたから米倉さん達からの誘いも、時々断った。
本当は行きたかったけど…。
なんとなく断る理由を察してくれていた米倉さんは、何も聞かなかった。
まだclanを辞めて3ヶ月ちょっとしか経っていないけど、①このままいけば私はちゃんと成ちゃんを忘れて、新しい恋愛に向き合える、と思っていた。
そんなある日、私は貴くんや正子や由美と10人以上の大人数でカラオケに来ていた。
みんなお酒も入ってるし、本当にテンション高い。
由美とかうるさすぎる。
貴くんはみんなと盛り上がりながらも、私の隣に座っていた。
「次俺の番じゃん!歌うよ~~~!!」
貴くんが席を立って歌い始める。
うーーん、上手だ。惚れる人は惚れるよこの歌声。
大ヒット中のCHEMISTRYを1人で2人分歌いこなしてる(笑)
その歌声を聞きながら、私は…
貴くんがさっき注文したばっかりのレモンサワーを貴くんに気づかれない様に全部一気飲みした(笑)
歌い終わった貴くんが、席に座って目の前の空グラスを見るなり、
「って、無いんかーーーい!!」
とツッコんできた。
ホント、ウケる(笑)
こうやって、馬鹿みたいに笑って楽しく過ごせてるから、私は大丈夫。
そう思ってる私のケータイが「成ちゃん」という名前の着信で光っていた。
①このままいけば私はちゃんと成ちゃんを忘れて、新しい恋愛に向き合える、と思っていた。
└やはり、相手への恋愛感情を忘れるために必要な事は、物理的に距離を置く事です。特に女性は。
じゃ、男性(脳)はどうなんでしょう?
と、申しますと、基本的に男性は相手に会っていない方が相手への恋愛感情を募らせてしまう傾向があります。
勝手に色々考えちゃうんですかね。
では、男性はどうやって恋愛感情を忘れれば良いのでしょうか?
それは、新しい恋愛をして、“忘れた振り”をするしかないのです…。
(これぞ、名前を付けて保存、の極意ですね。)
【愛着スタイル別】難しい恋愛/失恋の乗り越え方-後編-
愛着とは何か、また、自分の愛着がどのスタイルなのかの確認方法などは前編ならびに過去のブログ(いつも一緒にいたい彼女とたまにしか会いたくない彼氏-前編https://megumi-sato.hatenablog.com/entry/20200802/1596362400)に書いておりますのでそちらでご確認頂くとして、本日は前編では登場しなかった愛着スタイルの方の“恋愛における難しい局面の乗り越え方”について書いていこうと思います。
※前編では主に不安型愛着スタイルの人について書いております。
①回避型愛着スタイル
回避型愛着スタイル①-1:恋愛が長続きしないのは何故なのか
└理想主義で傷つく事を避ける、自立を重視する思考である事を理解する
回避型愛着スタイルの人の事も、過去のブログで少し触れています。
『いつも一緒にいたい彼女とたまにしか会いたくない彼氏-後編- 』
ここには、“自由を尊重したい人々”と表現してあり、“傷つく前に傷つく可能性のあるものから“回避”しようとする”、とあります。
これをもう少し詳しく書くと、実は回避型愛着スタイルの人にも“傷つく前に傷つく可能性のあるものから“回避”しようとする”以外の人がある一定数いらっしゃいます。
それは、“人との精神的/肉体的距離が近づく事が本当に嫌で、面倒だと思う人”です。
多くの回避型愛着スタイルの人は前者ですが、後者の方も一定数いる事をご留意ください。
後者の方は、前者の回避型愛着スタイルの人以上に共感力が低く、極端な言い方をするとサイコパシー度が高い人が多いです。(サイコパシー度が高い事はサイコパスである事とイコールではありません。)
さて、そんな回避型愛着スタイルの人の恋愛が長続きしない理由、を説明していきましょう。
※数年単位の長い恋愛をする回避型愛着スタイルの人もいらっしゃいますが、多くの回避型愛着スタイルの人の恋愛は1ヶ月~3ヶ月程度です。
・運命の相手を求める
・恋愛相手を理想化する
・自立主義である
・相手の行動やサインを読み間違えやすい
・相手にネガティブな印象を持ちやすい
上記が回避型愛着スタイルの人の恋愛が長く続かない主な要因です。
・運命の相手を求める
・恋愛相手を理想化する
この2つは概ね繋がっているので一緒にご説明します。
回避型愛着スタイルの人は、“運命の人”を想像しながら生きている事が多いです。そしてその運命の人のディテールがそこそこ細かい事も特徴です。
その為、誰かと付き合い始めても、少しでも“運命の人”と違っていると感じた場合はどんどん恋愛感情が冷めていく傾向があるのです。
そして、仮に初期の段階で“運命の人”だと思う相手に出会えた場合は、かなり積極的なアプローチで相手に好意を伝えます。
そしてその相手自身をどんどん理想化していき、そして結局また“運命の人”と違ったと思っては恋愛感情が冷めていってしまうのです。
なので、まずは“理想像”に縛られた考え方を取っ払う必要があります。
大抵の場合、運命の人そのもの、と出会えるケースはありえないのです。
・自立主義である
以前のブログにも書いた様に、回避型愛着スタイルの人は自由、自立を求めます。そしてその価値観を他人にも当てはめる傾向があります。
そのため、例えば不安型愛着スタイルの人に嫌な事があった時、回避型愛着スタイルの人に愚痴や相談をすると、その行為自体を良くない事だと認知しやすいです。
そして、自分が相手に頼る事や相手に相談する事も一切しません。
これは恋愛相手を不安にさせる要素の1つであり、相手との関係が深まらない要因です。そして、強い自立心は時に相手へのプレッシャーにすらなるのです。 自分の自由(自分の時間)が必要だから相手の相談に乗りたくない、と考えてしまうと相手は不安になってより一層関係が悪化し、その対応に時間を割く必要が出て来ます。そうならないため、時には相手の話しに耳を傾け、力になってあげようとする事で、自分の時間が実際には確保しやすくなる事を理解しましょう。
・相手の行動やサインを読み間違えやすい
回避型愛着スタイルの人は相手の行動やサインを読み間違えやすいという事が研究の結果分かっています。
例えば、Aさんの恋人Bくん(回避型愛着スタイル)に、敢えてAさんの目の前で複数の女性の写真を見せ、どの女性が自分のタイプなのかを選定してもらいました。 その後、個別にインタビューを行った結果、Aさんは「凄く嫌な気持ちだった。」と答えたのに対し、Bくんは「Aさんは僕に無関心だった。」と回答しています。
この様に、回避型愛着スタイルの人は相手の言動やサインを読み間違えやすい上に、ネガティブな読み間違えをしやすいのです。
その事を頭に入れつつ、自分が相手に対して感じたサインや感情を思い込むことはせず、少しずつでも良いので相手に確認する様にしましょう。
・相手にネガティブな印象を持ちやすい
上記「相手の行動やサインを読み間違えやすい」にも書きましたが、回避型愛着スタイルの人は相手の言動にネガティブな印象を大変持ちやすいです。
批判的という事です。
相手が自分にしてくれた数々の感謝を忘れ、ネガティブな部分にだけ意識が向きやすいので、嫌な気持ちが続いている時は、相手が自分にしてくれたことを考える様にしましょう。
事前にそういうリストを作成しておく事も、良い方法です。
回避型愛着スタイルの人①-2:そもそも恋愛がうまくいくにはどうすれば良いか
└安定型愛着スタイルの人を探しましょう
不安型愛着スタイルの人の解決方法と全く同様になってしまってすみません。
しかし、2020年現在、愛着スタイルの問題解決方法で分かっている事は元をたどると全てここに辿り着くのです。
不安型愛着スタイルの人は、不安型愛着スタイルの人同士でも比較的うまくいくという話しをしましたが、回避型愛着スタイルの人がうまくいきやすいのは安定型愛着スタイルの人のみです。
回避型愛着スタイルの人同士はお互いに回避行動を取り合うので、自然消滅しやすいです。
そして不安型愛着スタイルの人と一緒にいると回避型愛着スタイルの人の回避行動は強くなりやすいと言われています。(詳しくは過去のブログをご覧ください。)
安定型愛着スタイルの人と一緒にいる事で、回避行動が減り、ケースによっては回避型愛着スタイルの人のが安定型愛着スタイルに変わったという事例もあります。
安定型愛着スタイルの人は、回避型愛着スタイルの人が回避行動を取っても、取り乱したり、追い詰めたり、感情的に攻撃する事はありません。
そして愛情がある以上は、長い時間をかけて回避型愛着スタイルの人を理解しようとします。
運命の人を探そうとせず、安定型愛着スタイルの人を探せるようになれば、恋愛は長続きすると思われます。
②安定型愛着スタイル
└自分は愛されるべき人間だと理解している、良い意味で鈍感な人
安定型愛着スタイルの人は、これまでの記事内容をご覧頂いても分かるように、多くの不安定型愛着スタイルの人の救世主となりうる存在です。
しかし、実際には安定型愛着スタイルの人は安定型愛着スタイルの人と長くお付き合いし、そのまま順調に結婚するケースが大変多いため、過去のブログにも書きましたが、恋愛市場では人数が少ないタイプなのです。
安定型愛着スタイルの人は、うまくいかない恋愛は、暫く頑張った後でずるずる先延ばしせず終わりをしっかり決断する事が多いです。
それは、その恋愛を終わらせても自分は他の人に出会い、愛される事が出来る自信があるからです。
その為、『難しい恋愛/失恋の乗り越え方』も、ご自分で理解している事が多いです。
そんな安定型愛着スタイルの人が普段“普通”に行っている恋人やパートナーとの付き合い方の特徴は以下です。
・平和主義である
・柔軟な考え方をする
・素直である
・駆け引きはしない
・自然と親密になる事が出来る
・寛容でいる
・愛情のあるセックスをする
・相手へ敬意を払う
・自信がある
・責任感がある
そして、安定型愛着スタイルの人は安定型愛着スタイルの人と付き合いやすいという事をお伝えしましたが、安定型愛着スタイルの人が相手を選ぶ時に自然と行っていると言われているのは下記の内容なので、不安定型愛着スタイルの人は安定型愛着スタイルの人を選びたいと思った時には参考にしてみましょう。
ちなみに、安定型愛着スタイルの人は見た目だけでは分かりません。
・相手が駆け引きしていると感じたら、その相手には深入りしない
・自分の恋愛相手はたくさんいると自信を持つ
・相手の言動を自分のせいだとは思わない
・相手の言動はその相手を示す指標だと考える
もちろん、安定型愛着スタイルの人の相手が不安定型愛着スタイルの人という事も大いにあります。
その多くの場合、安定型愛着スタイルの人は不安定型愛着スタイルの人への接し方を本能的に心得ている事が多いとも言われており、相手が不安になったり、回避行動を取りたくなる前に、その心境にさせ難いという事も分かっています。
その為、不安定型愛着スタイルの人の心が安定し、時にはそのまま安定型愛着スタイルの人に変化する事もありえるのです。
③まとめ
さて、今回も前後編で各愛着スタイル毎の特徴に合わせたポイントを書いて参りました。
不安型愛着スタイルの人も回避型愛着スタイルの人も、毎回似た様な恋愛で自分が苦しいと思っている様であれば、次の恋愛では視点を変えて見る事をお勧めします。
この中に、“恐れ・回避型愛着スタイル”の人が登場しませんが、恐れ・回避型愛着スタイルに関しては非常に対応が難しく、その特徴的に恐れ・回避型愛着スタイルを持っているご本人がこのブログに行きつく可能性が極めて低いため、どちらかというと恐れ・回避型愛着スタイルをお持ちの人のお相手様がここに辿り着く事の方が多いと推察致します。(回避型愛着スタイルも本当はそう)
恐れ・回避型愛着スタイルの人の最も大きな特徴は
・天邪鬼
・試し行動
・繊細
この3つです。
この3つに当てはまるお相手に振り回されてしまっている方は、直接ご相談にいらしてください。恐らくその方が早いと思われます。
恐れ・回避型愛着スタイルの相手でなくとも、相手が不安定型愛着スタイルの人だな、と感じた方は、必要であればいつでもご相談ください。お待ちしております♪
(本気で何とかしたい方のみ、承ります。)
それでは、明日、心が晴れますように♪
↓おかげさまで、恋愛カテゴリTOP5に2種類ランクイン中♪↓
不協和音:1
clanを辞めた私は、新しいバイトを見つけて楽しく働き始めていた。
clanとは違うけれど、一緒に働いている人たちとも早速仲良くなって休みの日に遊ぶような仲になった。
駅前の人通りが多い道を一本入ったところにある、オシャレで穴場のカフェ。
穴場だから、1人で仕事をしている人や、常連のカップル、読書をしているダンディなおじさん、みんなセカセカしてなくて、時間がゆっくり流れている様に感じる。
1度正子と由美も遊びに来てくれて、私のお勧めパフェを食べて絶賛して帰った。
clanの米倉さんや大森さん、林さんとはありがたい事に以前とほぼ変わらぬ関係で、夜中に遊びの誘いメールが届く。
学校の課題が増えてきた頃だったから、バイトのカフェとclanの営業時間の差は丁度良く、clanが閉店するまでの間私は課題を進める様にしていた。
成ちゃんとは1回も連絡を取っていない。
私がclanを辞めて3ヶ月。
米倉さん達に会っても、みんな気を使っているのか誰も成ちゃんの話しをしようとしなかった。林さんは成ちゃんから聞いていたみたいだし、大森さんには流石にバレた。
だけど、たまに、本当にたまにclanの前を通った時に、clanのかわいらしい真っ白い壁にいくつも覘くブルーの縁の窓越しに成ちゃんが働いてるのが見えた。
私はまだまだ成ちゃんを忘れられないままいた。
だけど、せっかく忘れるためにclanを辞めたんだから、早く次の恋をしなくちゃ、と思っていて、積極的に遊びに行ったり、イベントに参加したりを続けていた。
最近はイベントで出会った貴くんと良く遊んでいる。
貴くんはそのイベントでDJをしていて、①音楽にもかなり詳しいから私と凄く気が合った。
良くお勧めの曲を教えてもらっては、それを聴いて感想を言い合ったり、一緒に似た曲が無いか探したり、とても一緒にいて楽しい。
そんな貴くんとの楽しい時間を終えて家路についた時、わざわざclanの前を通って、うっかり窓越しに成ちゃんを見てしまうと、成ちゃんの周りだけが光って見えて、これまで私が貴くんと楽しく過ごしていた時間なんてまやかしだ、と言わんばかりに私の胸を突き刺した。
「clanの前、通らなきゃいいじゃん。」
と、由美にごもっともなツッコミをされたけど、どうしても、どうしても成ちゃんを見たくてclanの前に行ってしまう…。
「辞めた意味、あるのかな?」
正子にも言われる。
本当だ。私は何のために辞めたんだ。
これじゃー、ただ大好きなclanを辞めただけになってしまう。
②もう、clanの前を通らない様にしよう。
①音楽にもかなり詳しいから私と凄く気が合った。
└第一章にも書きましたが、私は恋愛感情を『エロス+尊敬』と定義しているのですが、そもそもそれ以前に必要なのが“共感”です。
これは、恋愛以前の関係性=友達になるために必要な最低限の条件とも言えます。
この“共感”は2人にとって限定的で狭い分野になればなるほど親密度が増していきます。
その為、『2人だけの秘密』は効果が高いのです。
特別感を感じる上に、これがあると会話もしやすいです。
これを、クロージング効果、と言います。
②もう、clanの前を通らない様にしよう。
└文章の前をお読み頂くとお分かりいただけるように、数秒前に『どうしてもclanの前に行ってしまう。』と言っていた麻衣が、最終的にclanの前を通らない様にしよう、と決意しています。
このぐらい、人の気持ちは変わりやすいです。
変わりやすいというよりも、フラフラします。
1度決めた事を割とすぐに覆す、というのも良くある話しです。
仕事では自分を貫き通している人が、恋愛になると一気にフラフラになる、なんていうのはザラです。
恋愛相談カウンセラーとしては、決めた事を貫き通せる人の方が恋愛を叶えやすい、とお伝えしておきます。
祖母とおじちゃん
田舎の祖母は、離婚していて祖父と一緒には暮らしていなかった。
幼い私は「田舎には、おばあちゃんの家と、おじいちゃんの家がある。」とだけ思っていて、それが当たり前なんだと思っていた。
物心ついた時には、祖母の家に行くと私達姉弟には“おじちゃん”という存在の人がいて、一般的に祖父がしてくれるであろうことは全て“おじちゃん”がしてくれた。
遊びに行った時にプールに行きたければおじちゃんが車で乗せて行ってくれたし、お正月のお年玉はおじちゃんが誰よりも高額くれていた。
基本的にかなり寡黙で、武士みたいな人だ。
これが普通だと思っていたから、段々大人になって
『もしかして、おじちゃんってばーちゃんの彼氏なんじゃ?』
と思った時は驚いた。
小さい頃からなんとなく一緒に住んでいる人だと思っていたし、当たり前過ぎて何も疑問を持たなかった。家族の大人たちは全員おじちゃんを家族として接して一緒に食卓を囲んでいた。
段々大人になって、『じゃ、なんで結婚しないんだろう?』と思った。
何となく聞けなかった。もしかしたら離婚経験のある祖母が結婚したくないと言ったのかもしれない。(そういえば、祖母はおじちゃんを名字にさん付けで呼んでいたなぁ。)
でも2人はずっと一緒に住んでいた。
しかも、喧嘩をすると激しい。
結構頻繁に言い争ってるから、仲悪いんだろうか?とすら思った。
この良く分からない関係を、20代の頃の私は、『変わった関係だなぁ』と『そこに、恋愛感情はあるのかい?』と不思議に思っていた。
10年以上前、おじちゃんが重い病気になって入院した時も、祖母はずっと付き添っていた。
退院した後もおじちゃんは祖母の家にずっと住んでいたけど、ある時ちゃんと自分の家が他にある(家があるだけで家庭はない)という事が分かって、私はますます2人の関係が良く分からなくなった。
おじちゃんが毎朝仕事に行く時に、お弁当を作って持たせる祖母。
それをもらっていき、しっかり食べて帰ってくるおじちゃん。
そして、そんな日々が続いていく中、祖母がALSという難病にかかってしまった。
段々筋肉が衰えていき、動かす事が出来なくなっていく病だけど、どこから発症するかは人それぞれ。
祖母は、口やのどの周りから発症した。
祖母はとんでもないお喋りな人で、少しは黙ってて、と母が怒っても数分も我慢できないぐらいマシンガントークを続ける人だった。
それを活かしてか、若い頃自分でスナックを経営していて、かなり人気者だったと聞いている。
私も数えきれないほど笑わせてもらったし、祖母から教えてもらった事は山ほどある。
私は祖母が40代の頃に出来た孫だったので、おばあちゃん!っていう程年寄だとも思えず、「つけまつげ」とか「ネイルアート」とかは最初は祖母に教えてもらったものだ。
そんな祖母が、口からALSの症状が出るなんて、神様は酷いなと本気で思ったし、段々話せなくなるのはお喋り好きな祖母は凄く辛かったに違いない。
全く話せなくなってからは、意思を伝えるのも大変だったと聞いている。
自分が衰えていく姿を絶対に周りの人に見せたくなかった祖母は、病室に入れる人間を制限していて、私は結局1度も直接会う事が出来なかった。
病室に入って良いのは、祖母の娘たち(母と妹2人)と、おじちゃんだけだった。
私は、『私達孫にも見られたくない姿は、おじちゃんには見せても良いんだなぁ。』とぼんやり思った。
そして月日は経ち、物凄くたくさん雪が降った日に、祖母は亡くなった。
祖母の葬儀は、これまでの人生で見た事が無いぐらい“明るい”葬儀で、出席者が全員祖母のエピソードを語っては、泣きながら爆笑していた。後にも先にもあんな葬儀に出席した事はない。
おじちゃんは、黙ってビールを飲んでいた。
そして、火葬場で最後のお別れをする時、祖母にはみんなが順番に挨拶をした。
その時も、おじちゃんは何を言ったかもこっちが覚えていないぐらい、普通に祖母に挨拶をした。
その後少し経って、お経を読んでもらった後棺が扉の中に入っていく時。
それまで全く目立った事を言わず、泣いたりもせずいたおじちゃんが、祖母の棺に手を添えて、ずっと離れなくなった。
棺が中に入るのを、止めようとしていた様に見えた。
顔を下げて、泣いている様だった。
仕方なく係の人がおじちゃんの手を取って、棺から離し、棺は扉の中に消えていった。
私はあの時に初めて、この2人は私が想像しているよりも強い絆で結ばれていて、愛があったんだと思った。
そんなことは、2人だけが知っていれば良いんだな、と思った。
おじちゃんは祖母よりも(かなり)年下だったので、まだまだ元気に暮らしている。
だけどきっと今日も、祖母を思い出しているんだろうな、と思う。